「いのち短し善せよ乙女」を描くに至るまでの経緯
▶時を遡ること昨年10月某日…
pixivを開くとメッセージが届いていた。
なんときららMAXの編集の方から漫画を描いてみませんかというお誘いだった。読み切りで描いて、好評だったら連載に持っていきたいというお話。
嬉しかったけど動揺の方が大きかった。何せ自分は同人活動とか何もしてなくて、漫画を描いた経験もほぼ無かった(昔ひなビタ♪同人誌にゲストでちょっと描いた事あるだけ)ので、自分に出来るのか?という不安で一杯だった。
友人に相談して、やはり描いた方が良いと言われ結局描いてみる事に。
「自信がないから」で断るにはあまりにも勿体ない話。
▶11月某日 打ち合わせ
東京で編集さんと打ち合わせする事に。
何も言われてないけどネームとか持って行った方がいいんじゃないか?と思って事前に描いてたネームを持参する事にした。
僕は根っからのゲーム少年ボウイなので、キャラクターもRPGっぽい設定だったら描きやすいかな?と思ってそういう設定にした。
メイン登場人物2人が
●勇者を自称している父親の娘という設定の主人公
●「勇者が子供の内に始末する」と魔界からやってきた魔王の女の子(当時やってたドラ○エ4に影響されまくってる)
という勇者と魔王モノ。勇者を始末しに来た魔王がMP切れで勇者を倒すのも魔界へ帰るのも無理になって主人公の家に居候するみたいな話。それで見てもらったんだけどボロクソで。
「4コマなんだからちゃんとオチで笑わせるような作りに」「今後この子達でどう話を展開していくのか」など課題が多く見つかった。
何より「今本誌でも魔王モノが連載されていて、次の読み切りでも魔王モノが来る予定なのでこれでは埋もれちゃいますよ」と言われてしまってもう前提からダメダメだった。まさかきららに魔界ブームが来ていたとは。
かと言って自分の人生を振り返ると仕事(DTP)、ゲーム、アニメ、漫画ぐらいで、漫画として形に出来るような経験が全然なくて。
自分のような人が多いから流行作品に経験不問の魔界モノとかファンタジーモノが多いのかな…ってのを感じた。
何はともあれ全部書き直す事に。
▶11月~1月中旬
とは言ったものの自分には形に出来るような経験が何もなく、やはりファンタジー要素は必要不可欠だと踏んで結局天使と悪魔の漫画を描く事にした。
取り敢えず「きらら 天使 悪魔」で検索して、現行で連載してるもので重複してるか確認。無さそうだった。
元気でぶっ飛んだ性格の天使と暴れん坊の小さい悪魔が同じタイミングで転校してきて、オカルト好きのメガネの女の子が二人に絡んでくる日常もの…
で2ヶ月ほど編集さんとやり取りして、もうちょっとでOK貰えそうなところ…
きららMAXを読んだら春雨先生の「魔王城ツアーへようこそ!」の扉絵にバン!と天使と悪魔が載ってて。
「埋もれる!!!!!!!」と思って今まで描いてた原稿を急遽ボツにする事にした…。
▶1月下旬
しかし次の原稿をどうしたものか…と普段通り仕事してたら急にネタが閃く。電流走るとは正にこの事で。
.o0(毎回ランダムアイテムで事件を解決していく…みたいなのはどうか?アイテムさえ閃けばあとはどうにでもなるかも…。うちでのこづちみたいなのから出て…あ、でも僕は大きい武器が好きだからハンマーを大きくするか…)
とかどんどんアイデアが湧き出てきて。勢いづいて筆を走らせた結果ネームもすぐ描き終わった。
熱が編集さんにも伝わったのか、特に訂正も無くこの時点で提出したネームが後にほぼそのまま原稿になって雑誌に載る事になる。1話は本当に勢いだけで描いたような話なのです。
主人公・風上乙女は先を見据えてとにかく描きやすさを重視したデザイン。天使、杏エリカは直前に描いてた漫画の天使のキャラをそのまま流用。
ネームはあっさりOKで、1話の原稿を清書する前に2話のネームから先に描く事になった。
▶2月~3月
2話のネームを描く。「引きがストーリー漫画みたいになってるので、今回の話の大オチとして描いて」などアドバイスを受けて順調に描き終える。
ここら辺で自分の職場の部署が変更になって急に忙しくなってしまう。今まで無かった土曜出勤が毎月必ず発生するなど、試練のようなタイミング。
▶4~5月
いよいよ1話の原稿を清書。1話はセンターカラーで描いてほしいので締め切りも早くなります…と死の宣告を受ける。
漫画作業、まずクリスタを購入したきりほぼ使った事が無かったのでそこからだった(最初は4コマテンプレ作るだけで半日ぐらいかかってた)
ネームをスキャナで取り込んで、それをラフとしてコマの下に敷いて、上のレイヤーにあまり線をなぞらない感じで清書していく。
全ページ描き終わった後「全体的に線が細い」と言われてしまい、泣く泣くクリスタの機能で全ての線をちょっと太くする。機能で太くしてるのでちょっと線が汚くなってしまった。
そしていよいよ1話の原稿が出稿…漫画を描いてみませんかと話を受けてから約半年、長かった。
▶6月
次は2話の原稿作業だな!とクリスタに向かおうとしたところ、
「この話、2話目にするにはちょっとネガティブすぎる内容な気がしてきました」と編集さん。
そう言われて僕もネガティブすぎる内容な気がしたので急遽ほぼ全ページ書き直す事になった…。
しかし1ヶ月でネーム&原稿の清書というのは月刊誌で連載を続けていく人にとっては当然のライフワークなので、先を見据えた上で自分を試すという点では良い機会なのかもしれない…とも思った。
原稿の清書は見本誌で毎月貰ってるきららMAXや、手元にある漫画を参考に描いていくんだけど、特に参考にしているのがカヅホ先生のキルミーベイベー。背景の入れ方や省略具合など主に参考にしてる。
デフォルメされたキャラにしっかりオチのついたギャグ漫画で、学ぶところが多い。今後もお世話になっていく事であろう。
内容に触れると、「ドラゴンの血」というアイテムの使い方で、別に今回このアイテムじゃなくても良かったな~という反省はあるけれど、大オチとしてはかなり好評だったのでまあ良かったかな、という気持ち。
2話目の出稿が完了。
▶7~8月
3話目のネーム&原稿清書でした。
ゲスト掲載のトドメの話という事で力の入った内容になってる…かな?
掲載されてるきららMAX10月号は今日から一週間後の8/19(月)発売、良かったら読んで下さると嬉しいです。